Chonaso's Commentary

InternetやIT技術などについて知ったこと、試したこと、考えたことを書いていきます。

NTT東西が発表した光回線サービス卸の件

(追記)本記事のフォローアップ記事です。あわせてご覧ください。フォローアップ 光コラボ - Chonaso's Commentary@hatenablog

時事ネタ。

本日発表されたNTT東西が発表した光回線サービス卸について、自分なりに考察してみました。


この発表は固定回線にも大きな変化が訪れた瞬間であると共に、 NTTにとっては、

といった様々な意味が込められてるのではないでしょうか。

現時点ではまだ分からない部分が多いですが、これからの動きを見ていくうえで以下が重要なポイントとなっていくかと思います。

サービスメニュー

現在フレッツ上で提供されているサービス(ひかり電話、フレッツTV・スカパー光、ひかりTVなど)はどのような取り扱いになるか、この後のISPとの競合の話とも重なりますが帯域制御/制限・帯域課金など設定がFVNOにとって自由度があるのか、あるいは独自性を発揮できるのかといったところがポイントとなります。

より高度化するFMCへの期待

FMC(Fixed Mobile Convergence)とは具体的に言えばau(KDDI)の「スマートバリュー」、SBM(ソフトバンク)の「スマホBB割」に相当するものです。

現在の日本におけるFMCは価格競争に留まったものですが、ドコモMVNOとの組み合わせによるデータオフロードサービスや固定/モバイル横断で提供されるサービスといった真のFMCがエンドユーザに提供されるようになるのかが気になるところです。

ISPとの競合、住み分け

インターネット接続可能な固定回線を遍く参入業者に卸販売するためには、バックボーンや課金/収納、カスタマサポートなどが不可欠で、現在のISPが担っている/得意としている部分はまさにこの部分です。

再編真っ只中にあるISP業界ですが、ここをNTT東西が独自に提供するのか、あるいは既存ISPがMVNE*1ならぬFVNE(Fixed Virtual Network Enabler)事業者が引き続き提供していくのかというのがポイントとなります。

卸価格

光回線においても、自社線を引いている通信事業者やNTTダークファイバーを使用して独自のキャリア事業を展開している通信業者が存在します。

もしもNTT東西の卸価格が圧倒的に安いものであれば、これらの競合事業者はいきなり強烈な逆風にさらされる形となり、 ともすれば方針転換を余儀なくされ、既に投資している設備が大きな問題となります。

競争と進化

モバイルにおいてはauソフトバンクモバイル(SBM)、イーモバイルなどドコモと同じレイヤーで競合している事業者があり、この中でサービス内容や価格の競争がおきています。

仮にすべての業者がこのインフラに乗った場合は物理レイヤーでの競争は置きなくなるため、今後より速い回線へのリプレイスなどはNTT東西の経済性が優先されたり、今のMVNOのように価格や帯域以外の差異がない画一的なサービスになってしまう可能性があるなど、光回線の進化はすべてNTT東西が握ることになります。

ソフトバンクの反応(笑)

(笑)なんて書いてますが、営業力では誰もが認めるところのソフトバンクにとっては卸値次第では「勝ちに等しい負け」となる可能性もあります。


いわゆる「土管屋に徹する」という立ち位置はNTTの在り様としてはベストな選択肢の一つだと個人的には思ってきましたが、私も(いつの間にか)この業界にいる人間なのでいざその時が来てみると、かなり怖い部分が多いです。

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*1:MVNE:Mobile Virtual Network Enabler MVNO参入への障壁を下げるため、通信事業者(ドコモ)との交渉・通信設備・課金/収納・サービスプラン設計/提案・カスタマサポートなどを受け持つ事業者。日本通信IIJ、OCNなどがこのポジションにある。